★月刊・沈黙の兵器 第00023号 '06/12/30 ★

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先日12月16日、日本テレビ「世界一受けたい授業」で、高校歴史教諭の増田ユリヤ氏が次の話をした:

■フランシスコ・ザビエルはスパイだった?

 キリスト教の宣教師であったフランシスコ・ザビエルですが、宣教師というのは各国を回ってその国の状況を視察するという役割も担っていました。
 最近、イエズス会の文書館に保存されていた秘密文書が公開されて、その中にザビエルの書いた手紙がありました。そこには「スペインの基地を作るために地理的条件を考えると天草が最高だ。長崎に要塞を作るべきだ」と書かれていました。
 布教活動をする一方で、スペインの基地を作るという計画もあったようです。
』→ http://www.ntv.co.jp/sekaju/student/20061216.html

この種の話は以前にも放送された。
 2000年8月放送のNHK「その時歴史が動いた」である:

 秀吉は、世に名高い長崎の26聖人殉教事件などキリスト教への迫害を強めていった。……近年解読されたイエズス会文書館所蔵の資料から、日本で布教を続ける宣教師の間にキリシタン大名を競合しての「日本占領計画」が存在したことがわかった。ヨーロッパ最強と謳われたスペインの海軍力がその背景だった。追放令は、計画を察知した秀吉による対抗手段だったのである。弾圧を強める秀吉に対して、宣教師側は四国・九州攻撃と日本国内への軍事基地の建設まで企てていた。……キリスト教禁制はその後も徳川幕府2世紀半の鎖国政策に引き継がれていった。
』→ http://www.nhk.or.jp/sonotoki/2000_08.html#03

侵略の意図は明白である。
 より詳細を知る良書をご紹介しよう:
侵略の世界史―この500年、白人は世界で何をしてきたか
 (祥伝社)清水馨八郎【著】

日本が守られたのは、四方が海に囲まれていたこと、徳川幕府が鎖国政策をとったことにある。
 しかし技術の発展は「黒船」を作り、その「海」がむしろ安全保障を脅かすこととなったのだが…。


■■■ ロスチャイルドと共産主義(3) ■■■

キリスト教という宗教を、その教えの内容はともかく、侵略のツールとして利用したことは明白である。
 共産主義という思想も、その理想とするものはたいへん素晴らしく感じられたとしても、実際どのような人間が関わってきたか、現実の問題として考えなければならない。
 またソ連が崩壊して、中国が自由化政策をとり、共産主義は過去の思想だとカン違いしてはならない。
 その「原動力」は、より深く静かに沈黙の空気となって、われわれを包み込もうとしているのだ。

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★★ ラコフスキー調書の一部を紹介 (永渕一郎 訳) ★★

本メルマガの20号21号でも引用したラコフスキー調書を、改めて取りあげたい。
 1982年の百科事典ブリタニカでは彼のことを次のように記している。

 クリスチャン・G・ラコフスキーは、1873年8月13日ブルガリアのコテル市に生まれた。ブルガリア革命家となり、次いでルーマニアにおいて社会主義の地下運動家として活躍、ボリシェビキ党に入党。……レーニンの側近となり、十月革命後は1919年中央執行委員会委員に選出され、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の人民委員会議長となる。しかしソビエト共和国自治活動に味方し、スターリンや中央集権の支持者と衝突、その結果ウクライナでの地位から追われ、1926年フランス駐在大使になる。1927年反スターリンの廉で党を除名され……1934年転向し、党に復帰し、保健人民委員に任命されたが、1937年に免職され、スパイ、裏切者の廉で逮捕、裁判にかけられた。

 ここで紹介するラコフスキー調書は、1938年1月26日から始められたものである。この取調べはフランス語で行なわれたが、それに立会ったポーランド人医師ランドフスキーがその調書をロシア語に訳した。
 取調官のガブリエルは、フランスで教育を受け、モスクワで内務人民委員会の外国人諜報員になり、スターリンの信任を受けたフランス系ユダヤ人である。彼はいうまでもなくスターリン主義者であり、トロッキストであるラコフスキーとは、その世界観では相容れない。

もっと分かりやすく平易に説明しよう。
 われらが赤い楯(国際金融資本家)グループの一族であるマルクスが発明した共産主義革命を、グループの一員であるレーニンがロシアで成功させてソビエト連邦が誕生した。
 そのレーニンの側近がラコフスキーである。
 赤い楯グループは当初、レーニンの後継者に彼らのグループの一員であるトロツキーを考えていた。
 しかし彼らの計画も、時には失敗する。
 スターリンの台頭である。
 スターリンは政権を掌握すると、ラコフスキーを含むトロツキーのグループを弾圧した。
 その結果、ラコフスキーは逮捕され、スターリン派によって取り調べられた、というわけである。


ラコフスキー(向って左)と、トロツキー


以下、取調官ガブリエルをGとし、被告ラコフスキーをRで表記する。


Gーつまり、君は今度はフリーメーソンの変種としての秘教的マルクス主義を私に教えようというのか?

Rー否、ミステリーではない。その反対だ。私はこれをきわめて判然と説明できる。マルクス主義は、哲学的、経済的、政治的体系となる以前に、革命の陰謀である。そして、われわれにとっては、革命は、絶対的真理、唯一の真理である。……
 マルクスは天才だった。彼の著述は資本主義に対する深刻な批判だけに限られていた。したがって、それらの著述は研究対象に関する高度の、科学的理解の成果である。ところが、彼は最高の技巧をきわめながら、自分の著述が持っているアイロニーを強調しているのである……
 彼は、人々から信じて貰うために、資本主義と共産主義を単純に無人格化し、人間を意識的に判断する個体に変えている。彼はこれを手品師の才能でやっている。これは、資本家たちは資本主義の所産であるということ、共産主義は資本家の生まれながらの白痴性がもたらした結果である勝利を手に入れることができる、もし《経済人》にこの不滅の白痴性が具有されていなかったら、資本主義の中には、マルクスが発表した矛盾は起こり得ないということを、資本家たちに証言するための滑稽な手法なのである。《賢い人間》を《馬鹿な人間》に変えるためには、人間を最低の、動物的段階まで堕落させることのできる魔力が必要である。資本主義の最高発展の時代に、《馬鹿な人間》タイプが出現しさえすれば、マルクスの公理《矛盾プラス時間は共産主義を建設する》が実現する。
 正直なところ、すべてこのことを知っている私たちは、ルビャンカの入口にぶら下がっている肖像のようなマルクスの代表者であるという権利を主張しながらも、心の底からこみ上げてくる笑いを押し殺すことができないのだ。この笑いはマルクスによって私たちに伝染されたものだ。それは彼のその頬鬚の中で、すべての人類を笑っているのがわかるからだ。

Gーその上、君はさらに、最も尊敬されている世紀の学者を笑うことができるのかネ?

Rー君は私を嘲笑しているのか? これは驚いた。マルクスがこんなにも多くの学者たちを欺くことができるためには、彼は彼らより高いところに立たなくてはならなかったのだ。そこで、マルクスの偉大性を全面的に判断するためには、私たちは本当のマルクス、革命家マルクス、『共産党宣言』によるマルクスを観察しなければならぬ。つまりマルクスは地下運動者である。彼の時代では革命は地下に存在していたからである。革命はそれが発展し、勝利を得たことに対しては、これらの陰謀家たちに恩義がある。

Gーつまり君は、共産主義の終局的勝利をもたらした、資本主義における矛盾の弁証法的過程の存在を否定しているのか?

Rーもしマルクスが、資本主義における矛盾の結果だけで、共産主義が勝利を得ると信じていたのなら、彼は自分の科学的、革命理論の何千ページにもわたって矛盾に関して論じることはしなかっただろうよ。これは君も信じることができるだろう。マルクスの真の本質的な絶対的路線は、科学的ではなく、革命的だということだ。革命家と陰謀家は自分の勝利の秘訣を、自分の敵に決して打ち明けることはしない。彼は決して真の情報を与えることはしないが、世論を迷わせるための虚偽の情報なら与える。それを君たちは陰謀に反対する闘争に利用しているのだ。そうではないかネ。

Gー君の主張によると、資本主義には矛盾は存在しない。そこでマルクスの矛盾論は単なる革命的、戦略的方法に過ぎないことになる。ついに私たちはこんな結論に達したのだ。そうだろう? しかしわれわれは資本主義における莫大な、不断に激化していく矛盾を見ている。つまりマルクスは嘘をつきながら本当のことを言っているということになる。

Rー君は独断主義(ドグマチズム)のブレーキを外して、独自の発明性を自由に駆使している、危険な議論家だ。そう、そのとおりだ。マルクスは嘘をつきながら、本当のことを話した。彼は矛盾を、資本の経済の歴史の中で継続するものと規定し、その矛盾を《必然で不可避》のものと名付け、故意に人々を混迷させる点で、嘘をついているが、同時に
この矛盾が作り出されるもの》であること、そしてそれはその頂点に達するまで、累進的に成長しはじめることを知っている点で、本当のことを言ったのである。

Gーつまりアンチテーゼがあるというのか?

Rー否、アンチテーゼなどは何もない。マルクスは戦術的理由から嘘をついているのだが、それは資本主義における矛盾の起源に関してであり、矛盾の現実に関してではない。マルクスは、矛盾がどうしてつくられたか、どうして尖鋭化したか、共産主義革命の勝利を前にして、どうして資本主義的生産において無政府状態が誘発されたかを知っている。彼はこのことが起こることを知っている。
なぜなら矛盾を作り出していた人々を知っているからである。




ラコフスキーはいったん死刑を宣告されるが、その後、懲役刑に減刑され服役している。
 なぜ減刑されたのだろうか?
 独裁者スターリンといえども、新生ソビエトを「経営」するためには、赤い楯(国際金融資本家)グループの強大なパワーを無視するわけにはいかない。そこでそのエージェントであるラコフスキーを生かしたまま利用しようと考えたのではないか?
 いや、実際はそれ以上であったようだ。
 ラコフスキーの方が立場が強くなったくらいである。
 そしてなんと、1939年8月のドイツ・ヒトラーとの条約(独ソ不可侵条約)をスターリンに勧めて実現させる。犬猿の仲といわれたヒトラーとスターリンが手を結んだことは、世界中に衝撃を与えた。日本ではソ連とのノモンハン事件中で、ドイツのこの日独防共協定違反に対し、8月28日に平沼騏一郎内閣が「欧州情勢は複雑怪奇」と声明して総辞職したくらいである。
 更にこれは1940年9月の日独伊三国軍事同盟の実現に大きく影響したのであるから、ラコフスキーは日本の運命を獄中から左右したのだ。
 そして赤い楯グループは、スターリンを援助するのである。
(以下文中の《彼ら》とは赤い楯グループのこと、形式的共産主義とはスターリン主義、真正共産主義とはマルクス主義のこと)


Gー今日で私たちは対話を終らなければならぬ。しかし別れる前に、まだ知っておきたいことがある。すべてこれが本当であり、成功を収めたとして、《彼ら》は一定の条件を出すだろう。この条件が何か推察できるかネ?

Rーそれは推察するのに困難ではない。第一の条件は共産主義者、すなわち君たちが《トロッキスト》と呼んでいる連中の処刑を中止すること。次に当然、私がすでに話した、若手の勢力圏の設置を要求するだろう。その限界は形式的共産主義から分離することになるはずである。これが主要な条件である。計画ができあがったら、一時的な共同援助のための相互協定と譲歩が行なわれる。君は例えば、パラドックスに満ちた現象を見ることになる。スターリンの敵全体がスターリンを援助する。いや、彼らは必ずしもプロレタリアではない。しかしプロのスパイでもない。社会のあらゆる階層の有力人物、上級社会の有力人物が現われ、スターリンの形式的共産主義者が、真正共産主義とまでいかなくとも、客観的共産主義にかわるや否や、スターリン主義者とその形式的共産主義を援助するであろう。私のいうことがわかるかネ?。

Gー少しばかりは…。君はこんな話をわけのわからない懐疑論に持ち込んでしまう。

Rー終りにする時間なら、私はただ次のことを申し上げておく。君の理解の助けになるかどうか。……物質とは、矛盾を除去した結果、ジンテーゼが生まれるというマルクスの発表したようなものではない。実際上これは反対の相互融合の結果であり、ジンテーゼはテーゼとアンチテーゼから得られるものだ。主観と客観の間の最終的調和として真実、真理が生まれる。君にはこれがわからないかネ? モスクワには共産主義があり、ニューヨークには資本主義がある。これはテーゼとアンチテーゼだ。これを検討して見たまえ。モスクワは主観的共産主義で、資本主義は客観的国家共産主義だ。ニューヨークにとっては、資本主義は主観的で、共産主義は客観的である。人格化したジンテーゼ、真理とは金融インターナショナルであり、資本主義と共産主義が同一となっているものである。これが《彼ら》だ。




資本主義と共産主義の対立という20世紀の「冷戦構造」とは、《彼ら》が作ったと言うのだ。
 究極の「サンドウィッチ作戦」であり、今まで見てきたように赤い楯一族の常套手段である。

ちなみに、このラコフスキー調書そのものを、「トンデモ情報」の類に考える人々はいるだろう。
 しかしこれほど具体的で論理的で、読解にすら高度で「緻密な知力」が要する文章を、どんな人物が書けるというのか?
 それとも冒頭の「イエズス会の秘密文書」のように、NHKやバチカンがお墨付きを与えたら信用するのか?

その後、取調官ガブリエル(以下、G)が、調書を取る際に立ち会った医師ランドフスキー(以下、D)と交わした会談が、「ルースカャ・ジーズニ紙」に掲載されている:s


Gーラコフスキーとの会談を憶えているか? 彼は処刑されなかったことを知っているかい? 君は会談を皆よく知っている。だから同志スターリンがこの奇妙な計画を利用する方が賢明だと決心したのは、何も不思議はない。この計画には何のリスクもなく、反対にそれから大きな利益が得られる。君が記憶をさらに新しくすれば、若干の問題を理解できるだろう。

Dー私はすべてはっきり記憶しています。私はこの会談を2回も聞き、それを記述して、訳したことを忘れないで下さい。ところでラコフスキーが《彼等》と言った人々のことがわかりましたか?

Gー君を信頼しているという証明のため、君に言うが、否である。《彼ら》が誰であるかは、自信を持って言えないのだが、最近になって、ラコフスキーの言ったことが色々確認されている。例えば、ヒトラーをウォール街の銀行家たちが資金援助したということは、正しかったその他の色々のことも正しかった。私が君と会っていないこの数ヶ月間、私はラコフスキーの証言と関連のある調査をした。私が個人をはっきりさせることはできなかったのは、本当だが、金融家、政治家、学者、はては聖職者に至るまで、それぞれ高位を占め、巨大な財力と権力を持ったグループは実在している。彼らの占めている地位と彼らの行動の結果から判断すると、彼らの思想の多くが、共産主義思想と多分に共通点を持っていることが、奇妙だし、不可解になる。……




《彼ら》は、協力者に必ず『大きな利益』を与える。これも常套手段だ。
 以前述べたように、スエズ運河建設の一大プロジェクトでもイギリス政府に融資できるくらいに「財力」があるのだから、朝メシ前だ。スターリンは、その「大きな利益」を受け容れるため、不可思議な独ソ不可侵条約を結んだ。
 ちなみに《彼ら》はある意味、義理堅く、信用第一主義なのである。そのあたりがギャングやマフィアと違って、「契約」を律儀に実行する。
 問題は、あまりにも秘密主義的で、悪魔的なところである(悪魔は契約を重んじる)。ただし《彼ら》にとって、悪魔が悪魔的であるとは限らない。善か悪は、常に「相対」である、と考えるからである。一方、《彼ら》にとっての「絶対」は存在する。旧約聖書の神エホバである。

最後に、《彼ら》はなぜ共産主義を支援したのだろうか?
 答えはカンタンである。共産主義革命はブルジョワジー(金持ち)を打倒する。
 《彼ら》は、彼らグループ以外の金持ちを打倒するために、共産主義を利用したのだ。
 そしてそれがほぼ完成したため、ソ連は無用となり崩壊した。
 《彼ら》が次のステップに入っただけである。
 その目的は、欧州通貨(これは完成)、アジア通貨、……ひいては、世界通貨の実現である。


★★ 終わりに ★★

とても重要な資料なので、「ラコブスキー調書」の引用と解説を行なった。
 全文を読みたくなった読者は、筆者までご一報下さい。

次号は、共産主義よもやま話を予定します。
 どれだけ秘密裡に事を運んでも、微かにその痕跡は残る。そうした「シッポ集」である。

皆さん良いお年を!

「月刊・沈黙の兵器」
★まぐまぐ!サイト: http://www.mag2.com/m/0000150947.html
★発行者のサイト: http://www.geocities.jp/akion200104/
★執筆者のサイト: http://www.geocities.jp/untilled/ (←バックナンバーが見やすいよ)

■次号の予定: 「共産主義よもやま話」
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/E