★月刊・沈黙の兵器 第00017号 '06/06/29 ★
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以前にご紹介した「菊芋」が、筆者の畑で順調に育っている。
今年5月に植えたものはもう身の丈1m前後まで育ち、3年前に植えた小ブロックには1.5m前後にまで育った。最終的には2〜3mに育つ予定。
この菊芋のメリットは、放っておいても毎年育つ、面積あたりの収穫量が結構多い、生でも食べられるしあらゆる調理法を適用しても美味しい、お米に替わる主食としても採用可能(カナダ原住民がかって主食にしていた実績あり)、天然のインスリンと言われるイヌリンが豊富で健康に良い、北海道のような寒冷地帯でも沖縄のような亜熱帯でも中国の砂漠地帯でも育った実績があり(湿地帯は苦手なようだが)、さらに秋ともなれば菊の花にそっくりの花を咲かせて目を楽しませてくれる、…などがある。
これから地球的規模の水不足が予想されている近未来で、人類の救世主的作物になる可能性が大である。
筆者は日曜日だけこの畑に訪れるのだが、ついに「理想」の作物に出会った感慨に浸っている。
HDDレコーダーの全データが消えた先月のショックも、この菊芋を見ていると少しは癒される。
■■■ テンプル騎士団 ■■■
映画「ダヴィンチコード」を見てきた。小説でも読んだが、映画も見ておきたかったからだ。
映画全体を見て感じたことは、大抵の場合と同じく、小説の内容をかなり「端折って」作られていること…。わずか2時間強の上映時間に収めようとすれば仕方のないことなのですね…。
しかし映画館に入って驚いたことは、平日で午後4時過ぎだったとはいっても、いくらなんでも観客が少なすぎる。大きな映画館にわずか20名くらい…。世界的話題作としては考えられない少なさだ。確かにそれまでの風評としては、「展開が速すぎてよく分からない」、「小説を読んでからでないと意味が分からない」、との意見が多かったので敬遠されたのだろうが、それにしても少なすぎる!
いずれにしても今回は、その「ダヴィンチコード」のポイントである、テンプル騎士団について話を起していきます。
(文の一部をウィキペディア百科事典にリンクしていますので、マウスのカーソルを合わせクリックしてください)
★★ テンプル騎士団が護ろうとした「秘密」とは? ★★
小説「ダヴィンチコード」では、シオン修道会およびその護衛組織とされるテンプル騎士団が登場する。
シオン修道会は実在に関して諸説があるが、史実の認めるところでも、テンプル騎士団は「聖地エルサレム巡礼者の安全を守る」目的で1118年にフランスにおいて創立され、1307年10月13日の金曜日に突然異端として処刑弾圧されるまで実在していた。

テンプル騎士団の紋章
その設立当初、エルサレムのソロモンの神殿跡の地下で、なにか「重要なもの」を発見したというのだ。それによってフランスに帰った1127年直後から、彼らは莫大な富と権力を握ることができたというのである。
その「重要なもの」とは何か?
小説「ダヴィンチコード」では、それは「聖杯」ということになっており、実はそれは物理的な「杯」ではなく、イエスキリストの末裔の血統を護ることだというのである。
他には「モーゼの契約の箱」だとか、いろいろな説があるが、そんなもので果たして現実の富や権力が握れるだろうか?
組織を維持して、イエスの末裔を守護する「経費」が要ることはあっても、儲かることは無い。
実は、小説「ダヴィンチコード」はその件に関して、たった一文だけではあるが、その組織の核心に触れている:
『They(i.e. Knights Templar) began extending credit to
bankrupt royals and charging interest in return, thereby establishing
modern banking, and broadening their wealth and influence still further.』(Chapter
37 中頃)
和訳すると、「テンプル騎士団は、破産貴族達への貸し付けを拡大して代償に利息を請求し始め、それによって近代的な銀行システムを設立して富と影響力をさらにいっそう拡大していった」
利息をとることはキリスト教では原則禁じられていたにもかかわらず、である。
これがテンプル騎士団の実体であって、他の話はすべて人々の宗教的ロマンを利用して自分を正当化し美化するためのデッチ上げであると筆者は断言する。
ウィキペディア百科事典にも、テンプル騎士団の金融機関としての活動が紹介されている:
『特筆すべきは、テンプル騎士団が巡礼者の預金証を作成し、彼らの資産を預かるサービスを編み出したことである。』
つまり「預金証」といっているが、これが西洋における紙幣の原型であり、現代の銀行システムに通じる元祖を創ったのである。
当時の巡礼者は、旅に出る際に大金を持つと危険なため出発前に自分の金銭(ゴールドなど)をこのテンプル騎士団に預け、その旅先で預り証(当時は貴金属が金銭であったが、この「紙キレ」が立派な通貨として機能した)を利用したのである。信仰心の厚い聖地巡礼者の弱みにつけこんで「詐欺」を働いていたのだ。やがてそれがバレて、弾圧されたのは当然ではないか?
ゴールドの「預り証」が本当は如何に「詐欺」であり、西洋の銀行システムの原型であると当メルマガ第3号で説明したが、ぜひ再読して頂きたい:
http://www.geocities.jp/untilled/ep3.htm
つまりテンプル騎士団の護りたかった秘密とは、「通貨の秘密」ではないか?
その現代版が当メルマガ第3号でも触れた「イルミナティ」であり(そのシンボルは米国1ドル札の裏面に刻まれている)、また現代はイルミナティが世界のほとんどの権力を掌握した世界金融帝国の時代であるから、テンプル騎士団当時の規模が世界規模に拡大されたと思えば分かりやすい。
イルミナティの設立が1776年、現在に至るまで急速に世界的規模で影響力を拡大したから、同類をかばうことが可能となったのだろう。テンプル騎士団は異端の汚名を晴らして名誉回復したとされている。小説「ダヴィンチコード」も、イエスの末裔を守護する英雄的組織としてテンプル騎士団を描写しており、そうしたプロパガンダの1つと考えられないだろうか?
★★ 現代もテンプル騎士団は存在するか? ★★
12世紀から14世紀にかけて過去に実在したテンプル騎士団が、歴史のウラで綿綿と存続していたのか、あるいは現代に復活したのかどうかは分からないが、その本部とされる地域と建物は現在のフランス南部に確かに存在する。(その貴重なビデオが、先月消去されてしまったHDDに入っていたのだが…)
そこからフランスの国境を東に行くと、テンプル騎士団と同じシンボルを用いている国がある。小説「ダヴィンチコード」Chapter 40 後半でも触れているが、スイス連邦である。前掲のテンプル騎士団の紋章にある楯(略章のときはこの楯)と、スイスの国章を見比べて頂きたい。
現代の世界金融の指令基地といってもよいスイスは、やはりその金融という点でもテンプル騎士団と共通項があるのである。これは偶然の一致か?

スイス連邦の国章
★★ 終わりに ★★
前号で、次号は「旧約聖書と新約聖書(3)」と予告したが、結局今号は「テンプル騎士団」となった。
映画「ダヴィンチコード」が巷で上映中というタイムリーさもあるが、実は予定していた内容を大きく変更したわけではない。というか、そのイントロとして「テンプル騎士団」のことにどうしても言及するべきだと考えたからだ。紙面の関係上、内容を分割しただけである。
テンプル騎士団は、ユダヤ教のかつての本拠地ソロモンの神殿跡の地下でなにか「重要なもの」を発見してから、「銀行業」を営むようになった…。
イエスの教えキリスト教はローマの国教となるが、そのローマはかつて西暦70年にユダヤ王国を滅亡させた張本人である。それが何故、ユダヤ教の聖典であるトーラ、つまり旧約聖書を、ローマ国教であるキリスト教の聖書の半分としたのか…?
次号こそ 「旧約聖書と新約聖書(3)」で予定していた本体として、「旧約聖書は何故聖書に?」をお届けします。
「月刊・沈黙の兵器」
★まぐまぐ!サイト: http://www.mag2.com/m/0000150947.html
★発行者のサイト: http://www.geocities.jp/akion200104/
★執筆者のサイト: http://www.geocities.jp/untilled/
(←バックナンバーが見やすいよ)
■次号の予定: 「旧約聖書は何故聖書に?」
■筆者へのご意見ご感想は: untilled@yahoo.co.jp (メールチェックは週に1度くらいしかしませんが宜しく…)
/E